オートクチュールビーズ刺繍とは?刺繍の特徴と傾向とか

このブログでは「ビーズ刺繍」とシンプルに呼んでいますが、世間的には「オートクチュール刺繍」ということになるのだと思う。

オートクチュールはオーダーメイドなので1着1着に丁寧な刺繍を施しているものが多く、それらを総称してオートクチュール刺繍と呼ばれているので、実際には「この刺繍ですね!」みたいな定義づけは難しいと思う。

もちろんフランスの刺繍専門の有名メゾンで刺された刺繍はストライクなんだとは思いますが、そこで刺されたものと括るのはザックリし過ぎる感があります。

ビーズやスパンコールを使った豪華な刺繍は、今やイヴニングドレスだけでなく、一般の婦人服飾雑貨にもどんどん反映されているので、日常でも見かけることが珍しくなくなったように思う。

フランス刺繍や日本刺繍とは違う…一体どんな刺繍なのか、なんとなく傾向みたいなものがあるので、私なりの見解で解説してみたいと思います。

● 様々な材料を使用し、その組み合わせも様々。

ビーズだけでなく、スパンコール、クリスタル、パール、リボン、刺繍糸、毛糸、ラフィア、貝殻、メタルパーツ、アクリルパーツ、コードやブレード…と挙げたらきりがないくらい材料のバリエーションは多い。
穴があけられれば立派な材料です。穴がなくても糸で止めつけられればなんでも刺繍素材になる感じ。

↓いろいろな材料、そしてテクニックを組み合わせてます。

↑刺繍の土台生地はオーガンジー。ツイードの生地の上にまつっています。

様々なテクニックを組み合わせて刺されている

テクニックは多国籍、アップリケあり、糸刺繍あり、ドロンワーク(織り糸を抜いて模様を作るテクニック)あり、ビーズやスパンコールの止め付けあり、ミラーワークあり、リボン刺繍あり…材料と同様に、テクニックの組み合わせも様々。

立体感がある。

ビーズやクリスタルなど、そもそも高さのある材料を止めつけているので、フランス刺繍など伝統的な糸刺繍と比べると立体的になるのは当たり前なんですが、さらに詰め物をしたりしてより高さがでるように盛ったり、刺繍の別パーツを止めつけたりしてより豪華に見せることが多い。

別パーツを2段重ねにしています。(花ひらはオーガンジーに刺しています)

土台の生地は服地で薄手のものが多い。

伝統的な刺繍の場合、刺繍と生地の組み合わせが決まっていたりしますが(日本刺繍だったら正絹みたいな)、オートクチュール刺繍の場合はドレスの生地に刺繍を合わせることになるため、服地全般ということになる。

ドレスは薄手の生地が多く、透けるオーガンジーに刺繍することがわりと多い。総刺繍や刺繍の別パーツを作る場合もオーガンジーに刺すのが定番なように思う。

上の2枚の写真もオーガンジーに刺したものを土台の服にまつって仕上げたり、パーツを止めつけたりしています。

生地がオーガンジーのような薄手だと木枠は必須
小さい刺繍であってもフランス刺しゅうの丸枠は生地がバイアスで伸びてしまうので避けたほうが無難です。
モチーフがすっぽり収まってしまうのであれば丸枠もありだとは思いますが、四角い枠がベストと思う。

そして生地にパターンをとって刺繍をしてから仕立てるという順番が一般的。

出来上がった服やバッグなどに複雑な刺繍をするのは物理的に無理だったりすることが多く、
さらに付け加えると簡単な刺繍であっても生地の状態で刺した方が仕上がりが良いと思う。

まだまだあるかもしれないですが、パッと思いつくのはこんな感じです。

これらの傾向の行きつく先は、ぱっと見「複雑」且つ「豪華な仕上がり」なんだと思う。

ドレスの刺繍は反射する材料(ビーズやスパンコール、クリスタルとか)が含まれていてキラキラ光ります。
キラキラ光るって気持ちを高揚させる何かがある気がします。

刺繍が刺し進むにつれキラキラが増していくので出来上がる過程が楽しいな…といつも思う。

↓この刺繍、私がまだまだ新米でモーレツに熱く頑張っていたころ、
様々な材料とテクニックを組み合わせた刺繍をしたくて独習したもの。

土台生地は大きめの花柄コットンプリント生地だったのですが、全部の花に1つ1つ違う刺繍をしてみるという試み。

今から20年ほど前ですが、その時はホントに夢中だったなーっと感慨深い…

そして、この刺繍は何にしたかというと…

なんとボストンバッグっ?!(しかも実は両面刺繍なんです)

未だに一度も使ったことはありません…

私とビーズ刺繍についてはこちらの記事で。

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