ビーズ刺繍のための針
ビーズ刺繍といえば「ビーズ針」を使うと思われることが多いですが、実際にはビーズが通る「ぬい針」を主に使用します。
※この記事では主に縫い針を使ったビーズ刺繍で使用する針について説明していきます。
ビーズが通ればどんな針でも最低条件はクリアするわけですが、太さと長さによって使いやすさが全然変わり、刺繍の早さもそれに比例するので、どんな針を使うのかはこだわった方がいいと思う。
そして、針穴の形状も重要で、針穴は丸くて針穴の部分が膨らんでいないものがよい。
丸い針穴は直径が小さくても糸を通しやすく、諸々の条件を満たしているのが「ぬい針」ということになる。
いつも常備している針についてご紹介します。
もくじ
◆常用している針
●ぬい針(メインに使用する針)
オススメの番手は「四の二」「薄地用短針9号」(クロバー)
クロバー手縫い針 絆薄地用短針9
スパンコールや標準サイズの丸小ビーズはもちろん、国産の特小ビーズもほとんど通ります。
(輸入ビーズの場合、規格が曖昧なため特小ビーズだと通ったり通らなかったりします)
最近は小さなビーズも多いので、きぬぬい「超薄地用」(クロバー)も併用することが多い。
クロバー/ぬい針「絆」超薄地用 短針13
この超薄地用は、針穴が小さく糸を通しにくいのと、長さもやや短いので、前出の薄地用9号に慣れているとやや違和感はありますが、小さいビーズを刺す時にはビーズ針と違ってしならないので便利。
クロバーであれば「超薄地用」という名称になるようですが、一般的には「きぬ…」から始まる針と同じ太さ。
「きぬえりしめ」とか「きぬしきし」となどですが、この二つの違いは針の長さ、同じきぬ…なので太さは同じ。
◆準常用している針
●ビーズ針、ビーズ刺しゅう針(常用しないが揃えておくべき針)
clover クロバー ビーズ針
小さな穴のビーズでも通せる細い針ではありますが…
細くて長いため主にアクセサリーを作るのに適しているけど、刺繍をしていくうちに針が曲がってしまうので、刺繍には向いていません。
また、針が長いのは焦点を合わせて生地におとす時にブレやすく刺しにくい。
しかも超細いので、針穴に糸を通すのが至難の業だったりします。
さらに同じ「ビーズ針」でもメーカーによって針穴の形が違って、糸が通りやすかったり通りにくかったりという差が大きい。
ビーズを作っているメーカー つまり「トーホー」とか「MIYUKI」のビーズ針はかなり通しにくく、針の専門の「みすや針」「チューリップ」などの針は糸が通しやすいように感じる。
前者の針はテグス(透明のナイロン糸)を通すことが前提になっているからと思う。ここには「クロバー」も含まれる。
「クロバー」には次に紹介する「ビーズ刺繍針」があるので、「ビーズ針」はテグスを想定しているのかもしれませんが、糸は通しにくい。
という具合で、使いにくさはあるのですが全く使っていないのではなく、常用する針ではないということです。
ビーズ針が活躍するのは超薄地用でも通らない小さなビーズを使う時。
そして、出来上がった製品のお直しをする時には必需品だったりします。
商品の直しをする時、生地の平面な状態ではなく立体のため、針が柔軟にしなる方が上手く針を出し入れでき、細くて長いという特徴が活かせるのです。
そのため、一応いつも備えている針ではある。
ビーズ針に似ている「ビーズ刺繍用の針」というのがクロバーの商品であります。
クロバー 手芸用品ビーズ刺しゅう針
こちらも刺繍するのに常用には向いていないな…というのが正直なところ。
というのもビーズが通ることを前提にしているので「ビーズ針」にくらべればまだ短いですが、それでも刺繍するには細くて長すぎるように思う。(どんな刺繍をするかにもよりますが…)
華奢なのでぬい針に比べると刺繍の時間がかかるように感じます。(慣れもあるのかもしれませんけど)
針穴も縦に長いため、糸を通すのは大変です。(ビーズ針よりはまだマシな程度)
かなり「ビーズ針」寄りの針のため、出番はビーズ針と同じで小さなビーズを刺すまたはお直しの時で、あれば便利な針という感じでしょうか。
◆常用ではないけど揃えておきたい針
オートクチュール刺繍はビーズ以外にも材料が多岐にわたるので、本来は様々な針を使っているのですが、その他の頻度の多い針をあげておきます。
●刺繍針(備えておきたい針)
クロバー Clover フランス刺しゅう針 No.3〜9 14本入
主に7号〜9号くらいの細めの番手を選ぶことが多い。
刺繍針は糸刺繍のためのものなので、刺繍糸が傷まないように針穴が縦に長く針穴が膨らんでいるため、細めの番手でもほとんどのビーズは通りません。
それでもビーズ刺繍には糸刺繍も欠かせない要素なので、糸刺繍用の針として必要になる。
ただ糸刺繍とビーズを併用する場合、ぬい針のまま糸刺繍をすることも少なくない。
●リボン刺繍針(備えておきたい針)
名前の通りリボンを刺繍する際に使用する他、太めの材料(ラフィアやコード)を止めつけるのにも重宝するので、意外に出番が多く、無いとすごく不便。
もし針を10本揃えるとしたら、以下の割合がよいと思う。
- ぬい針(薄地用短針9号)5本
- ぬい針(超薄地用)1本
- ビーズ針(またはビーズ刺繍針)1本
- 刺繍針(7〜9号くらい)2本
- リボン刺繍針 1本
※針の耐久性は考慮していません。
つまりビーズ針は耐久性がないので、すぐに曲がるか折れるか、針穴が潰れる等が多いので1本という割合ですが、実際には取り替える頻度は高いので複数常備しておきたかったりします。
とりあえず、このバリエーションで揃えると、守備範囲の広いビーズ刺繍が出来ること請け合いです。
◆そのほかの針
●アリ針(別記事有)
「アリワーク」という技法で使用するカギ針のこと。(編み物のかぎ針と見た目は同じですが、カギがビーズが通るくらい小さく、先端がぬい針と同じくらい尖っている)
いつもぬい針とアリ針を併用していますが、一般的な針ではないのでここでの説明は割愛しておきます。(アリ針についてはコチラの記事にて詳しく説明しています)
●帆布針
木枠に布を張る際に、タコ糸を通して使用しています。
◆針のメーカー(国産)について
極小ビーズを通す時に輸入針を使う場合もありますが、手に入りやすい国産のメーカーに絞っています。
●クロバー
通常、クロバーの針を使っています。
手芸メーカーでは最大手と思うので、日本全国どこの手芸屋さんでも手に入るのではないでしょうか。
針穴にゴールドのメッキがかかっているので、クロバーの針だと見分けやすい。(どうやらチューリップ針もメッキ仕様のようですが…)
もう10年くらい経つと思うのですが、ある時から薄地用9号の針に国産の特小ビーズが通らないものが出てきて、問い合わせたことがありました。
(取引先だったため、クロバーの担当の方に聞くことができたのです。)
針穴のメッキをする業者が変わりメッキの厚さが微妙に厚くなった(といっても肉眼では到底わからない程度)ためではないかと思われるという回答で驚いたことがあります。
●チューリップ
国産の針メーカー。針を専門としているだけあってバリエーションが豊富。品質も安定している。
●みすや針 (京都)
京都のみすや針は本家と分家…?があるようで、互いが「本家」と名乗っているようですが…。
東京では百貨店の京都物産展などに出店した際に買うことができるようですが、オンラインショップもありネットでも買える。
ここの「ビーズ針」は他のメーカーよりも針穴が若干大きく作られていて糸が通しやすいのでオススメ。ただし針穴の両サイドが薄いため潰れやすい(これは不可抗力なのでいたしかたない)
●めぼそ針 (金沢)
金沢の老舗。
たまたまお土産に頂いて使ってみたのですが、針の先端がより鋭角なので、生地におとした時の針通りが抜群によい気がしました。
肉眼でみても先端の鋭さがなんとなくわかります。
…という感じで、針のメーカーによっていろいろと特色があると思うのですが、どのメーカーの針でも正直よいと思う。
どちらかといえば、時々針を新調すると使用感が良くなるのでオススメ。
ま、これは当たり前のことではありますが…
ぬい針は折れない限り新しい針と交換したりすることがないため、使えるうちは古い針をずーっと使い続けていたりする傾向があって、針を新調する機会は意外に少ない気がします。
そんな古い針は先端が摩耗していることが多く、いつも使っていると気がつかないのですが、けっこう針通りが悪くなっています。
なので、新しい針に変えた瞬間、その針通りの良さに感動したりするのです。