ビーズ刺繍のための糸
ビーズ刺繍には様々な糸が使われています。
大別すると材料を止めつける用の糸と刺繍用の糸の2つに分かれると思う。
それぞれの糸についての解説します。(思いついたら追記していく予定)
[ビーズやスパンコールを止めつけるための糸]
止め付け用の糸は刺繍した後の耐久性に係わるので、糸の強度が選ぶ時のポイントになります。
◆ポリエステル素材のミシン糸の60番を使っています。
100円ショップでも売られているくらい一般的な規格の糸です。
●フジックスの「シャッペスパン」がミシン糸として良く知られています。
「シャッペスパン」は手に入りやすく色数も多い。
撚りがやや強めで締まっているので、他のメーカーのものよりも針穴に通しやすく、ぬい針を使うビーズ刺繍にはとても向いており、品質が安定していて良い糸だと思う。
…が、私の場合はタイやインド製のやや甘縒りのポリエステル糸に慣れてしまったため、シャッペスパンが高級すぎて使いにくさを感じることが多くなりました(笑)
ちなみに「シャッペスパン」の撚りの強さは、アリワークには向かない気がしています。
もちろん、シャッペスパンでなくても60番相当の強度があれば止めつけには問題ありません。
●糸の本数について
ほとんどの材料は2本どりで止め付け、蠟引きはしていません。
とても繊細で薄い生地になると2本どりでは強すぎてツレてしまうため、1本どりにする場合もあります。また、スパンコールだけを止めつける場合には糸目が目立つので1本どりにしています。
●糸の色について
刺繍の裏方である止め付けの糸は、表面で目立たない方がよい。(もちろん例外もある)
そのため材料(ビーズやスパンコール)の色に合わせると糸目が目立たないので、色数を多くそろえておくと良い。
いちいち材料の色に合わせて糸を変える作業は、正直面倒で時間も倍かかってしまいますが、仕上がりがスッキリするので手間をかける甲斐はあると思う。
ビーズ刺繍の裏面は、表面と同じ色の柄になるというのが理想的。
ただ通常のミシン糸の色数を揃えるとなると、かなりのスペースが必要になってしまうため、色数が多くて小巻になっている100均のミシン糸セットが重宝ではないかと思う。
逆に色糸の数をぐっとおさえて、白っぽい糸と黒っぽい糸に集約すると刺繍時間が節約できたりします。
出来るだけ色数をおさえる時に重宝するのは、オフホワイト(生成り)、ベージュ、ライトグレイ、ダークグレイ、ダークブラウンだと思う。
これらは馴染みのよいニュートラルな色。
そして一番初めにそろえるならオフホワイト(生成り)と黒がおススメですが、一般的には真っ白い糸がよく選ばれていると思う。
白糸で止めつけると「材料の発色もよくなる」というメリットがあり、世の中で一番売れているのはきっと白糸だとは思うのですが…
白糸って「ニュートラルな何でも合う万能色」なんですかね?と一石を投じたい気持ちが常々ありまして。
漂白された真っ白は発色がよくニュートラルというよりは蛍光色っぽく感じてしまう。
さらに少しの汚れも目立つため気になったりする。
そのため「真っ白」と「オフホワイト(生成り」のどちらか、合わせやすい色を選ぶのであれば、迷わずオフホワイト推しなのです。
もちろん、白が使いにくい糸ということではありません。
刺繍の場合には、止めつける糸の発色も加味しておいた方がより自分好みの作品に仕上げることが出来るので、知っておくと良いくらいの感じです。
以下の3色を使い分けてみるとその違いが分かるはず。
白糸=材料の発色を良く鮮やかに仕上がる
オフホワイトの糸=なじみが良く糸目が目立たない
ライトグレーの糸=全体のトーンを下げて落ち着いた感じになる
また糸の色は土台の生地の色に合わせるという考え方も「有り」ですが、土台の生地がはっきりとした色(黒とか真っ赤とか…)の場合に限られると思う。
例えば、黒い生地に黒糸であれば糸目が生地に吸収されるので、材料の色数が多すぎる場合には手っ取り早く黒糸一色にしてしまった方が早い。
とはいえ、どちらかというと土台生地よりも材料に合わせる方が糸目がなじみやすい気がしています。
●ポリエステル以外によく使うのは、ナイロン素材の透明糸。
アクセサリーを作る際に使われるテグス(#20、#30)よりも細い、ミシン糸と同じ巻きになっているものがオススメです。
#100はちょっと細すぎるので、通常使用するのは#60がいいと思う。
フジックスのものもあるし、100円均でも取り扱っているようです。
透明糸はクリスタルを止めつける時に使用することが多い。
ポリエステル糸だと2本どりにしていてもクリスタルのエッジで糸が切れてしまうことがあるため、摩擦が多いブローチとかバッグの刺繍でクリスタルを止めつける場合には透明糸を使用すると安心です。
透明なので糸目が目立つ心配がないのがメリットですが、
デメリットは生地よりもコシやハリがあって強いため、ツレ易く生地に馴染みにくいところ。
そのため薄手の生地には向かない糸でもある。
薄手の生地に使用する場合には、生地の裏で糸を渡さないようにするとツレるのを緩和できます。
[刺繍用の糸]
生地の表面で刺繍の一部になるための艶のある糸が刺繍用になる。
代表的なのは糸刺繍用の刺繍糸ですが、他にもコードやリボン、毛糸など紐状になった刺繍素材はいろいろとあります。ここでは一般的な刺繍用の糸についてあげてます。
●レーヨン刺繍糸
日本ではあまり見かけないミシン糸のような巻きのレーヨン糸を使っています。
色数は驚くほど多い。
シルクのような艶があり1本は細く柔らかく絡まり易い。濡れた手で触ると簡単に切れてしまうこともある。(レーヨン素材なのでしかたありません。)
通常4〜8本どり…多いと18〜20本どりなんてこともありうるので、なれるまでちょっと苦労します。。。(アリワークの場合には、ほとんど2本どりになる)
日本だと工業用として使われていたりするようなのですが、既製品のように艶のある仕上がりに出来るので今となっては手放せません。
残念ながら日本では市販されていないようですが、最近は海外サイトから購入も可能になっているようです。
代用するならば、手縫い用の絹糸↓あたりが近いような気がします。ちょっと無理がある気もしますが、ツヤの感じは似ている気がします…(;’∀’)
●25番刺繍糸
刺繍糸といえば誰もがこれだと思いつく代表的な糸。コスモやオリンパス、DMCといったメーカーが有名ですね。
実際にはあまり使っていませんが、フォークロアっぽい刺繍をしたい時にはあえてこの糸をチョイスするとかわいい作品が出来ると思う。
以前、他社の刺繍内職で使用した際に、糸刺繍がしやすくて驚きました。当たり前といえばそうなんですけどね…(内職した時の話はコチラの記事参照)
●止め付けと刺繍する糸を兼務できるメタリック糸
日本ではあまり色数がなくて金糸、銀糸と呼ばれることが多い糸。
ミシン糸と同じ巻きになっている番手のものであれば、止め付けに使っても十分な強度があります。
ポリエステル糸の外側に箔がコーティングされているため、材料の止め付けも可能。
デメリットは、刺繍をするうちに生地に摩れてメタリックの箔が剥がれやすくなるので、針穴の大きなものを使うとかの工夫が必要。(針穴を大きくするとビーズが通らなくなるというジレンマもある…)
日本製のものは箔が剥がれにくく優秀。しかし、色数がゴールドとシルバーに限定されるので、会社では色数が豊富な海外のメタリック糸を使っています。
個人的にはメタリック糸は糸目が見えてもキラキラするので気に入っています。
ビーズだけだとキラキラが単調でしつこくなるときに重宝する材料でもある。
[その他の糸]
●パディング用の糸
日本では市販されていないコットン糸。
盛り上げる刺繍をする時のアンコ(土台)になる糸で何本かを束にして使いますが、高さがでるわりには軽く仕上がり、豪華な刺繍をする時に重宝します。
「しつけ糸」か「25番刺繍糸を束にする」などして代用したりしますが、この糸を束にした時の硬くて軽い質感は独特で、他の糸よりも少ない量でしっかり盛れる気がします。
こんなところでしょうか。
また思いついたら追記していきたいと思います。