そもそもアリワークってどんな刺繍なのか?について

アリワークはインド発祥の刺繍なので、民族的な土臭いイメージをもたれてしまいがちですが、それだけではなく豪華な刺繍や洗練された刺繍もあるのです。

フランス刺繍や日本刺繍、スワトウ刺繍、ハーダンガー刺繍とか…世の中にはたくさんの刺繍があって、そのお国柄とか使う素材で定義されていたりするとのは別の類いという捉え方がいいのではないかとおもう

アリワークといっても、ビーズ刺繍以外にも糸刺繍やアップリケ、かがりなど使い方が様々で、出来上がる刺繍が多種多様。

いわゆる伝統的な刺繍
豪華なビーズやスパンコールを使用した刺繍
チュールやシフォンを止め付けてかがりモチーフにした刺繍
ポップな刺繍

出来上がった刺繍からアリワーク刺繍と定義するには、あまりにバリエーションが多すぎるため、刺繍の種類というよりも刺繍の技法という定義がしっくりくるような気がしています。

…で、私が思うアリワーク刺繍とは「アリ針」というカギ状の針を使用した刺繍という定義。

カギ状の針先はかなり小さく、老眼には厳しいサイズです…

生地を枠に張るというのも付加えたいところですが、枠に張ることなくアリ針と太いウールの糸を使用した伝統的なストール刺繍などもあるので、枠に張ることが必須とはいえない。

ただ、素材がどうであれ枠に張ることなく刺すのは、最初のうちはかなり難しくまた、枠に張って作業することが前提になっている場合がほとんどだと思う。

特徴的なのは、基本となるのはチェーンステッチということ。

見え方はチェーンステッチではなくても、かぎ針で引き出したループをつないで進行するため、どんなステッチでもベースはチェーンステッチなのです。

つまり、ぱっと見はチェーンステッチに見えなくても細か目のチェーンステッチでビーズやスパンコールを止め付けていたり、チェーンの目を長くそろえてサテンステッチに見せていたりするのです。

また、便利な使い方としては、生地を裁ち切りにするためのかがりが出来ることでしょうか。

かがりが出来ると一枚の生地からコサージュを作れる

いわゆるボタンホールステッチの用途と同じですが、ボタンホールステッチはかなり時間がかかるうえクラフト感がでてしまいがちですが、アリワークのかがりは効率良くスマートに出来るのでとても便利なのです。

進行方向を逆にする応用的なステッチもありますが、ある意味、チェーンステッチ一択といってもいいと思う。

なので、アリワークで刺しているかどうかを判断するには、チェーンステッチかどうかを見ればだいたいわかるのです。

インドの伝統的な刺繍では、かぎ針ではなくぬい針で刺したチェーンステッチの糸刺繍などもあるのですが、その場合、裏側をみると判断できます。

アリ針のチェーンステッチは目が細かく、使用する糸も細い。そして、裏側がミシンの目のように連なっています。裏目と裏目の間にはほんのわずかな隙間だけでばらつきがありません。ぬい針の裏目の場合、似た感じではあるのですが、目と目の間の隙間がちょっと離れていて間隔の広い並縫いのように見えているはずです。

ただ…、かなり小さい目のチェーンステッチだったりするので、よくよくみたらそううだった…というケースが多いのではないかと思う。

実は、最近の洋服やバッグは、インド系の洋服でなくてもアリワークが使用されていることが多かったりするので、お手持ちのビーズ刺繍のバッグや洋服をまじまじと見ていただくとチェーンステッチでビーズが止めてあるのを確認できたりします。

人気のバッグブランドの刺繍。
背面も花もアリワークで刺されています。

さらにアリワークのチェーンステッチの特徴としては、終点からだと一瞬で解けてしまうのですが、出はじまり側からだと一目一目引き抜かないと解けないというのがあります。

なので、最後の玉止めがとても肝心なのです。

玉止めが解けてしまったとき、裏側の終わりの糸をひっぱるとどんどん刺繍が抜けてしまうのです。

そんな時は、ほどけていない最後のチェーンの目を探し、その目の中から下にある糸を引き出しておくと、ほどけるのを止める事ができます。

ざっとアリワークの特徴をあげるとこんな感じではあるのですが、出来上がりの刺繍のバリエーションは千差万別。

これから少しずついろいろなアリワークの刺繍を拾い上げてみたいと思います。

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