ニードルワークのビーズ刺繍ってどんな?
このブログでは、カギ針の刺繍(アリワーク)に対して、縫い針(刺繍針含む)の刺繍のことを便宜上、ニードルワークと狭義的に定義することにしました。
アリワークとニードルワークの違いについての記事の中でも、ニードルワークの刺繍について少し説明しておりますが、もう少し追記したくなりました。
もともとビーズ刺繍はニードルワークの刺繍からスタートしたのですが「アリワークが出来るようになりたい!」という思いが強かったので、どちらかというとアリワークが出来るようになるまでの代替えとしてやっておくか…程度にしか思っていませんでした。
その時はニードルワークの刺繍の奥深さを全然知らなかったのです。
一旦、アリワークを覚えコツをつかみ始めるとニードルワークの刺繍がもどかしくなる時期というのがくると思う。
ともするとアリワークの方が時間がかかりそうな時にも、すべてアリワークでやろうとし、ニードルワークなんてあんなに時間がかかって面倒なことをよく今までやってたな~なんて内心思う感じだったな…
今でもビーズやスパンコールを連続に刺す場合には、ほぼアリワークを使うスタイルに落ち着きましたが、
ニードルワークの刺繍についてはだいぶ見方が変わり、アリワークのサブ的な技法というよりもアリワークと同等のものだと実感するに至りました。
アリワークとニードルワークを併用する時に、ニードルワークが担う部分というのが主に糸刺繍とモールの刺繍(一般的にはゴールドワークと呼ばれたりしていますね)。
他にもありますが使用頻度が多めなところということで、この2つを挙げてみました。
糸刺繍といえば代表的なのはフランス刺繍ですが、ビーズ刺繍における糸刺繍はビーズを引き立てるための脇役的な立ち位置で、伝統的なフランス刺繍の考え方とはだいぶ違っているかもしれません。
私自身はフランス刺繍をちゃんと習ったりしたことがないので、はっきりとした比較はできませんが…
ちょっとした違いを一つ挙げると、ビーズ刺繍では刺繍糸を輪にして使うというのがあります。
※これは決まりではないですが、理由を後述してます。
つまり、フランス刺繍で糸を6本どりにする場合、6本の糸を針穴に通しますが、ビーズ刺繍では3本針穴に通し、輪にして6本どりを作ります。
輪にすると通した糸同士に撚りがかかったり、輪にすることで6本の長さが変わるというデメリットがありますが、それよりも針の根元の本数が多くならないことを優先したいというのが大きな理由。
そして、通す糸の本数を少なくすることで、太い刺繍針を避けることもできます。
というのも、針の根元の糸の数が少なく、針が細い方が針通りがよく生地を傷めないから。
針通りが良いというのは、イコール刺し心地も良いということでもある。
(といってもある程度の太さは必要なので、細い刺繍針しか使用しないという極論ではありません。)
ビーズ刺繍の場合、土台生地は服のことが多くオーガンジーだったりツイルだったり…多種多様。
例えば、土台生地がシルクシャンタンだったりすると太めの刺繍針は避けたいところです。
糸刺繍をメインに土台生地を選ぶわけではないので、できるだけ針通りが良くなるよう根元の本数を少なくする必要があるのです。
さらに言えば、フランス刺繍ではあまりみかけない10~20本どりなんていうのもアリです。
あ、そもそも使用する刺繍糸が違うというのもありました。
フランス刺繍糸でよく使用されるのは25番と呼ばれる最も一般的な刺繍糸ですが、ここで使用しているのはレーヨン刺繍糸なので、25番に比べるとちょっと細くて艶のあるミシン糸のイメージでしょうか。
日本では工業用刺繍糸のくくりになるのかもしれません。
フランス刺繍系のテクニックの中では、ストレートステッチ、サテンステッチ、フレンチノットステッチ(ロング、リング含)ぐらいで間に合います。
ステッチの種類が少なくても、ビーズ刺繍と組み合わせるとかなり刺繍の幅が広がるのです。
特にフレンチノットの使い方が興味深く、針をおとす位置を起点から離すとロングフレンチノットS.にしたり、糸の締め具合でリングS.にしたり…と見え方を変えることができる便利なステッチだと思います。(リングステッチはこの記事にも出てきています)
(覚えたての頃に練習のため刺した刺繍で、ステッチが硬い…)
それとモールの刺繍は、エンブレムの刺繍というとイメージしやすいと思うのですが、一言でいうと「ザ・豪華な刺繍」。
金属がコイル状になった「モール」(社内ではzariと呼ばれています)を使った刺繍ですね。
モールだけを使用した刺繍よりも、ビーズなどの他の材料と組み合わせてあるモール刺繍の方が個人的には好み。
所々モールを使っています。
ちょっとモールを混ぜただけでもリッチな雰囲気になるので、材料としての存在感が半端ないってことでしょうか。
また、ビーズやスパンコールの刺繍についても、初めからアリワークでスタートするよりも、ニードルワークで材料のサイズ感を捉えてから、アリワークを覚えた方がいいのではないかと思っています。
ま、自分がそのルートだったから…ではあるのですが
「材料のサイズ感」を捉えるというのは、ビーズ刺繍においてキレイに刺す一番のコツなんだろうな…と思う。
ニードルワークで覚え始める時にそれがちゃんとできていると、その後の刺繍で材料の収まりの良い刺繍が無意識に出来るようになるのが早い気がします。
もともとはじめから刺繍が綺麗に刺せる人とか…手先が器用な人というのは、無意識で材料(物体)のサイズ感を捉えることが出来ている人なんだろうと思う。
逆に生まれつき不器用であっても、サイズ感が大切だということを意識できれば、上手に刺すことはそれほど難しいことではないとも言えます。
ニードルワークは割と簡単に習得することができるというメリットがあるので、そのガイドラインになるようなコンテンツをアップできたらいいなと温めているところなんですけどね…