刺繍枠について思うこと。

「刺繍」と聞いて連想されるのは「丸枠」と「25番の刺繍糸」ではないかと思う。

刺繍関連の仕事に就いて20年以上経ちますが、実は丸枠も25番の刺繍糸も使う頻度は、あまり多くありません。

参考までに…左手の丸枠が年季入りすぎですね(;^_^A
確か実家から持ってきたヤツだったと思う…なので、使っていなくても古い^^;
ちなみに右の丸枠は仕事で時々活用している海外土産の丸枠

刺繍糸は日本だと工業用になるレーヨン刺繍糸を使用しているので、25番刺繍糸はほぼ出番はなく、いくつか手持ちの25番刺繍糸はあるのですが完全に死蔵されています。。。^^;

刺繍内職(コチラの記事参照)で25番刺繍糸を使用した時は、その使いやすさに驚きましたが、仕上がりの光沢を考えるとやはりレーヨン刺繍糸が手放せません。

工業用の刺繍糸の方が既製品っぽく仕上がるのです。逆に素朴な手芸感を出したい時には25番刺繍糸が向いているということでもある… 刺繍糸についてはコチラの記事にも

そして、刺繍用の丸枠については…今や100円ショップでも売っているほどメジャーなアイテムですね。

出番の少ない丸枠使うタイミングとしては、急ぎの案件でちょこっとサンプルを刺す時とか、最終的にまわりの生地をカットするモチーフを刺す時ですね。

丸枠のメリットは直ぐに生地を張った状態にできるというのと、枠の大きさのバリエーションが豊富で安価というのがある。平たく言えば「手軽で安い」ってことでしょうか。

デメリットは、枠にあたった部分の生地がバイアスで伸びる…つまり枠の跡が生地に残ってしまうことだと思う。
もちろん、生地によっては跡が残りにくいものもあるし、スチームアイロンなどで目立たなくできる場合もあるとは思いますが、そこが気になってあまり使う気になれないというのが一番の理由。

さらに言うと、アリワークで刺す場合に「安定感がない」というのが大きなデメリットになっている。

アリワークだと枠を固定して両手は糸と針を持つ状態をつくりたいのですが、角のない丸枠の場合、クランプや錘を使ってテーブルに固定しにくいっていうのがあります。
そもそも手で持ちながら刺すのが想定されている枠ため、単純に用途にあっていないのだと思う。

とにかく、個人的にはアリワークでなくても丸枠は使用せずに刺したい派なのは間違いない。

ニードルワークの刺繍の場合でも、枠を使用しない代わりに生地に接着芯を貼って調節したりします。

生地が柔らかすぎる場合、枠に張らないと刺繍縮がひどくなりますが、生地に接着芯を貼ることで縮みを緩和することができるのです。(もちろん刺繍する際には無駄な力を入れずに仕上げるというのが大前提)

とはいえ、最近はアリワークと併用して刺繍をすることがほとんどなので、枠に張らずに刺繍する機会はほとんどなくなりました。

いつも使用するのは四角い枠。木枠かプラ枠、どちらにせよ「四角い」というのがポイント。

四角い枠で市販されているのは日本刺繍用の木枠が良く知られていますが、個人的にはクロスステッチ用の「スクロールフレーム」がおススメ。

以前は海外サイトからスクロールフレームを取り寄せて使用していましたが、今は会社支給の卓上サイズの足つき木枠と四角いプラ枠を使い分けています。

縦横に引っ張るので、生地がバイアスで伸びることがなく、刺繍が出来上がって枠から外した時の刺繍縮も均一に縮んでくれるため対処しやすいと感じています。

プラスチックの枠は生地を挟むだけなので、簡単に張れるのですが仕上がりを考えると糸で引っ張る木枠の方が良いと思う。

簡単だとついつい使ってしまいますが…刺している途中で生地が緩みやすいのは結構なストレスになるうえ、仕上がりにも影響が出たりします。

やはり、しっかりした木枠に糸をかけて引っ張った状態が一番良いというのを実感しているため、ちゃんと仕上げたいものは木枠に張るようになりました(;^_^A

不思議なことに生地を枠に張るのはさほど面倒にも感じていません。
むしろ枠張は、新たな刺繍の第一歩という新鮮な気持ちになるので、あまり苦にならない。

ただ…プライベートな刺繍をするときには、手持ちの木枠が限られているため、プラ枠になってしまいます。

はじめは良くても次第に生地のゆるみが気になり…刺繍の期間が長くなる場合には途中で糸で引っ張りたくなったりします。

まだまだ完成が見えないモザイク刺繍もそんな感じで、1年を過ぎるころにはプラ枠の1辺を糸でひっぱり体制を整えました。(モザイク刺繍についてはコチラの記事参照)

4辺全部でなくても1辺糸でひっぱるだけでだいぶ張りが保たれます。

世の中的になんでも「”早くて簡単″に出来る」ことが好まれやすい気がしますが、「ベストな結果を期待するなら手間を惜しんでは得られない」と枠に張る時にいつも思うのです。

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