日本の伝統的な相良刺繍の煙草入れ…相楽刺繍を紐解くと結び目の集まりですかね。

かれこれ10年以上は経っていると思うのですが、京都旅行の際に古裂を扱う店で相楽刺繍の煙草入れを購入しました。

相楽刺繍って、「パイル状のポコポコした刺繍…」みたいな説明がされていたりするようですが、いわゆるフレンチノットステッチの集まりみたいなことのようです。

さらに紐解くと、「フレンチノットステッチ」って「結び目」を布上に作るステッチなので、「結び目の集合体」となるのでしょうか…と出来上がりから察する。

フレンチノットステッチ=相楽刺繍と言い切ってよいのかはわかりませんが、作業工程は同じ…ということのようです。どちらも専門外なので、断言は避けておきたいと思います(;^_^A

購入の決め手になったのは、この結び目がメチャメチャ小さい!というのと、柄に合わせた刺繍の入れ方にセンスを感じだから^^

表側だけでなく、内側もちゃんと刺繍がされている贅沢な感じです。

実はたばこケース本体とキセル入れがセットになっていて、キセルケースはなくても良かったのですが…バラ扱いはされていなかったのでセットのまま購入。

店主がもともとついていたわけではないキセルを何故かオマケで付けてくれました。

さらに刺繍関係の会社に勤めていると伝えると2階の奥からお宝的な刺繍の商品を見せてくれ、
「京都御所で使われていた品には、御所用の金具みたいなものが付いているので出所の目印になる」など興味深い話を聞かせてくれました。

京都らしい素敵なお店だったのです。

話を戻すと、この煙草入れの一部分だけ刺繍が密集しているところがあって、もはや生地と思えるほど隙間なく埋め尽くされているのですが、ここを埋め尽くすのに一体どれだけかかったのかな…その労力って⁈…なんて思ってしまいます。

「途方もない時間がかかったのは間違いない」と断言はできますが…(;^_^A
もはや再現したいとか思えないレベルです。

左下の花だけを刺し埋めているのがなかなかだなと思わせます。
ズームしていますが、実寸は1ステッチ1mmくらい。

相楽刺繍って刺し子と同様に布の補強という意味合いもあるようです。

結び目なので立体的で、それが集まると厚みが出て、強度も3割増しって感じになるのでしょうか。

ビーズやスパンコールの刺繍に慣れていると、糸刺繍だけの刺繍を見たときに「キラキラが足りないなー」とついついビーズやらを刺し足したくなったりするのですが、

この刺繍はそのままで十分と思える完成度の高さに感心してしまいます。

誰がいつ頃にどれくらい時間をかけて刺したのか…まったくわかりませんが、丁寧に工夫を凝らし作ったのであろう感が伝わってくる気がしますね^^

自分が刺した刺繍が手元を離れた数十年後…誰かの元に流れ着いたとき、こんな風に伝わるものがあるといいな~と思うのでした。

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