気になる刺繍を再現。モールのレアな使い方

「世界の刺繍」という大昔に買った図録の中に、前々から再現してみたいと思っていた刺繍があります。
ビーズやスパンコールは使われていない糸刺繍で、単純に「デザインが可愛いな~」というのがその理由。

この図録に掲載されている刺繍は新宿にある文化服装学院服飾博物館の所蔵品なので、タイミングが合えば実物を見ることもできるかもしれませんが、

実物そっくりに再現するのではなく掲載写真をもとに雰囲気だけ寄せれればいいかな~というラフな感じでやってみることに。

その刺繍というのは ⇧インドのサリーの刺繍。(やはりインド刺繍が好きなのです)
ぱっと見は花柄ですが、よく見るとペーズリー柄でもある。

おそらく写真よりもだいぶ大きな刺繍と思われるのですが、図録の写真の大きさのままが細やかで気に入っているので、刺繍しやすいように少しだけ拡大したコピーからまずは図案を写すことに。

ガチで再現する場合には、ちゃんと図案を作ってバランスを見た方が良いと思うのですが、今回は雰囲気が似ればよい程度なので写真をそのままトレースします。
まー、バランスはさておき、その方が「ソックリ感」出しやすいとは思う。

出来上がった刺繍をカルトナージュの蓋にするイメージで楕円にすることにしました。

まずはトレーシングペーパーに楕円を書いて、どの部分を入れるか刺繍範囲を決めます。
ペーズリー部分をスルーして花の部分のみで収まりの良い部分を探します。

決まったらシャープペンで図案を写しますが、結構ラフに描いています。
図案線は見えなくなるように大きめに刺すので正確に写す必要はないというのが持論。
刺しながらバランスをとるため、図案はむしろ極力少なくしておきたいくらいです。

それからチャコペーパーで生地に写す。
図案を写すための方法を今までいろいろ試したのですが、1枚だけであれば超アナログなチャコペーパーに結局行き着きました。
やや面倒で線も筆圧でかすれやすく正確さに欠けますが、そもそも図案自体それほど緻密に描いていないため、かすれたところはシャープペンで補強して成立させます。

例えば人や動物の顔だったり、図案によっては正確に描かないと印象が変わってしまう場合もありますが、草花の図案はそういったことがないので、写すのに気をつかわないで済むことが多い。

そしてオリジナルのサリーの刺繍は木綿の生地と記載がありましたが、土台生地にはインドのローシルクを選ぶ。
ローシルクは日本のツルっとしたシルクと違い、節が所々にありますが、風合いがあり今回の刺繍の雰囲気にあっているように思う。

写し終えたら早速刺し始めます。

まずは何処から刺し始めるか…なのですが、個人的に一番目立つところをまずは押さえることが多い。
今回はほとんど糸刺繍なので、糸の色を合わせながら進めます。

ビーズやスパンコールは使用しませんが、刺繍糸の他にモールを使用。
オリジナルの刺繍では、モールの他にメタルテープやメタリック糸など金属系の材料の記載がありましたが、モールを1種類だけ使い回すことにしました。
(刺繍が小さいのであれこれ使うのが難しいというのが理由)

モールというのは金属がコイル状になった材料で、好きな長さにカットしてビーズと同じように刺すのが通常の使い方。

今回の刺繍では、モールを刺してからしっかり潰すという使い方をしています。
(写真から察するにオリジナルの刺繍もモールを潰しているように見受けられる)

モールはコイル状なので収縮性があり、もともとビーズよりも見せ方に幅がありますが、潰すのは結構レアな使い方だと思う。

潰したモールを使った刺繍サンプルを何度か見たことがありますが、出来上がった刺繍からは実際の作業工程がわからない。

全部刺してから一気にモールを潰しているのか、刺すごとに潰しているのか…潰す道具があるのか、指で潰しているいのか…とか

今回は細切れで使用するので、その都度指で潰していましたが、フラット感がイマイチ…そこで良い道具を見つけました!
材料を選り分けるためのスプーンです。(ビーズ刺繍には欠かせないアイテムだったりします)

スプーンを使うとしっかり潰せて刺繍の馴染みがよくなったのが今回の大きな発見だったかも。

しかも、モールが入ると糸刺繍に光が入り、グッと印象が強くなる。

イメージ通り進めたこともあり、作業時間はマチマチですが4日目でここまで。

ここでストップするとなかなか再起が難しくなるので大体1週間くらいで終わらせたいところです。

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